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朝鮮王朝最後の皇女     徳恵翁主

著者 権丕暎      齊藤勇夫訳
価格 本体2400円+税
発行 2013年4月21日

(日本語版序文より)

 通常、韓国と日本は〈近くて遠い国〉と言われる。この言葉を聞く毎に私はその真意をしみじみと繰り返しみしめる。
 歴史を直視するとき韓国と日本は永い歳月に亘り歴史と文化、人間関係まで深い因縁の絆が絡んでいる。従って隣国であることに違いはない。〈遠い国〉となってしまった殺伐たる原因もあるが、それは冬に凍てついた氷も春にはごく自然に溶解する如く解けねばならないだろう。

(目次)

はしがき 3

日本語版序文 5

プロローグ 13

第一章 名のない或る皇女の生い立ち 17

一 亡魂の時節    19   二 冬過ぎればやがて春が来る 30

三 奇妙な噂 41   四 秘密を共有した人 49

五 暴風の襲来 60   六 深淵 72   七 さ迷う人々 85

八 因縁 95   九 愛しい人々 105   一〇 名前の対価 120

第二章 厳冬に咲く花々 133

一 朝鮮留学生 135   二 舞い落ちる花びらのように   143

三 もう一人の永眠   157   四 影の男   167

五 誰も望んでいなかったが 179   六 画仙紙の間に隠されたもの  191      七 その日の花嫁は   202

第三章 教えて、この女性は誰   219

一   不幸な出会い   221   二 解氷   234        三 不安の日々 251

四 消え去る者と生まれ来る子 262   五 またはマサエ 270

六 悪夢 278   七 生きねばならない理由 290

八 流れ行く日々 299   九 傍には誰もいない 314

第四章 かなり久しい時間が流れた後 323

一 洋子とさき子 325   二 必ずもう一度お目に掛からねば 334

三 脱出出来るか 343   四 海郷にまつわる心 354

五 最後の試み 362

エピローグ 375

小説以外の話 383

出版に際して 385

訳者あとがき 391

著者紹介

権 丕 暎(クォン・ビヨン)

1995年新羅文学賞受賞。以後、「小説21世紀」同人に十余年にわたり作品発表。

 

訳者紹介

齊藤勇夫(さいとう・いさお)

1928年中国・旅順市生まれ。大阪府立化学工専(現大阪府立大学工学部)燃料科卒業。日本大学工学部工業化学科卒業。三菱ガス化学技術部に勤務。定年退職後、韓国・台湾向け技術顧問。主要訳書として、崔文衡『閔妃は誰に殺されたのか』(共訳、彩流社、2004年)、崔文衡『韓国をめぐる列強の角逐 19世紀末の国際関係』(彩流社、2008年)など。